陽ゆらぎ早苗の列に風渡る | かぎやで風・NPO法人クリオン虹の基金

遠い人にも身近な友にも[コラム]~~かぎやで風~~

石を踏んだ足の痛みではなく、踏まれた石の痛みに軸足を置きながら、その折々、考えたこと、言うべきことを記します。

陽ゆらぎ早苗の列に風渡る【No.286】

2017.06.06

〈芒種〉2017/06/05 
 にせアカシアの花の香が消え、信州にもいよいよ初夏の気配が押し寄せてきた。わが家の周囲の草花もバラの満開に誘われるように、それぞれの色香を競い始めている。塩田平の水が張られたどの田も苗が列を作り、陽光を浴びながら風に揺れている。この時節がこの地で暮らす私が一番好ましいと思える時である。
 しかし、この自然の営みに浮かれてはおれない。この国はいよいよレッドゾーンに足を踏み入れた。
 その危惧のことを列記するだけでも、それは思い過ごしよと、もし、多くの国民がやり過ごしたならば、長くない将来に「こんなはずじゃなかった」と、必ず、頭を抱えることになるであろう。
 今、国政の最大の争点が参議院で審議中の「共謀罪」法案の成り行きである。この「共謀罪」が法律として成立すれば、その裁量の執行は検察と警察にゆだねられ、国民の良心・言論・表現、結社・集会まで監視と制限が加えられる。
 犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」に、国連特別報告者のジョセフ・ケナタッチ氏が、政府に懸念の書簡を送ったと報道されている。
 戦前の「治安維持法」と同趣旨を持つ危険度の高い法律である。国民は監視社会の中で、著しく自由度が制限される。政権側はこの法案は、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けてのテロ対策であって、一般国民を対象としてはいないと、繰り返し答弁してきたが、それがいかに虚言であったかかを証明する金田法務大臣の答弁が、6月2日の衆議院法務委員会で明らかになった。
 共産党畑野君枝議員が、戦前の「治安維持法」への認識を問われ、金田法務大臣は次のように答えた。「歴史の検証は専門家にゆだねるべきだ」。そして、犠牲者の救済と名誉回復を求めたのに対して、「適法に制定され、拘留・拘禁の執行も適法であった。損害を賠償すべき理由はなく、謝罪、実態調査も不要だ」と答弁した。いよいよ馬脚を現した。
 この日本政府の一連の動きに対して、国連人権理事会が日本仁おける「表現の自由」の現状を調査した特別報告を、カリフォルニア大学のデービット・ケイ教授が、日本のメデイア規制のあり方や慰安婦の記述をめぐる歴史教科書の検定についても懸念を示した。この4月、「国境なき記者団」による世界各国の放道自由度が発表されたが、なんと、わが国は72位と独裁国家並の低位にある。政権にとって好ましくないキャスターやコメンテーターたちがテレビ画面から、次々と降板していく。これは言論統制のというマスコミ経営陣の「忖度」が、すでに水面下で働き始めているのであろう。
 圧倒的な議席数を後ろ盾に安倍政権は、まさにやりたい放題の独走ぶりであり、残念ながら与党内部の批判勢力も影が薄く、対抗軸の民進党もガス欠状態で、イマイチパワー不足である。
 私権誘導の実態が明らかであった「森友学園問題」も手のひら返すように、利用価値がなくなると、籠池理事長は、刑事罰の対象とされるしっぽきりで消された。
 学校法人「加計学園」の獣医学部新設をめぐる問題では、前川前文部次官が規制緩和をすすめる中で、国が行政をゆがめ、学部新設が決められたと証言し、政権側からの圧力による認可を、「首相の意向」と暴露文書まで明らかにしたが、余程、この展開には危機感を持ったのか、早速、政権御用新聞読売新聞紙上に、「前川前次官 出会い系バー通い」と、間髪入れずに人格攻撃の記事を掲載し、この事実を躍起になって隠蔽しようとする政権の慌てぶりが見てとれる。トランプにならって「フェイク情報」で打ち消しているが、流石にこのリーク報道には国民は騙されないであろう。
 「日経」(電子版、6月1日付)は、インターネットによる世論調査を発表したが、安倍内閣の支持率が前回の52.1%から26.7%に急落した。アメリカのトランプ大統領の支持率以下と成り果てた。これまで私は国民の民度についてあきらめていたが、今回の結果で、少しばかりあきらめの減点率むを上げても良いかと思った。いやー愉快なリ。
次回は6月21日の夏至にお会いしましょう。

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