天も地の政に猛り稲光 | かぎやで風・NPO法人クリオン虹の基金

遠い人にも身近な友にも[コラム]~~かぎやで風~~

石を踏んだ足の痛みではなく、踏まれた石の痛みに軸足を置きながら、その折々、考えたこと、言うべきことを記します。

天も地の政に猛り稲光【No.290】

2017.08.23

天も地の政に猛り稲光
〈処暑〉2017/08/23
 この頃、「外来種動物」の話題で大騒ぎです。2014年にはヒトスジシマ蚊を媒体とするデング熱で、代々木公園では大がかりな殺虫剤散布が行われていたのが記憶に新しいが、2年前には「セアカドクグモ」がメデイアの主役で、生息地は各地に広がり、定着生息しているという。そして、グローバル化により、大量の物流がコンテナで各地の港に陸揚げされ、そのコンテナから殺人蟻ヒアリが発見されるに及び、大騒動である。「女王アリ、卵発見」と、騒ぎは収まる気配がない。環境省による最近の発見場所は13カ所に上るという。
 外来種の侵入は、まず人の移動に付随して発生したもので、移動の空間や時間を耐える生命力が強い生物だけに、環境の違う土地でも適合して繁殖する。在来種などは、いとも簡単に駆逐されてしまった。
 私の記憶に強く残っているのは、1993年、沖縄県の「ウリミバエ」一掃の血のにじむような闘いの記録だ。このハエは瓜類に寄生し、農作物に大きな被害をもたらす。農薬散布でも駆除できず、八重山諸島、宮古諸島、沖縄本島、奄美諸島から日本国本土への瓜類の移動は厳しく禁止されていた。
 この対策はウリミバエを一匹残らず根絶する「不妊虫放飼」がとられた。大量のハエを飼育し、放射線で不妊化し、不妊化オスと交尾して、無精卵を何代も生ませつづけ、次第に絶滅の道をたどるという、実に息の長い闘いである。ついに、この努力が実を結び、28年後ウリミバエ絶滅宣言が出された。
 そして8月17日のニュースは、1979年を最後に二ホンカワウソは絶滅したと考えられていたが、長崎対馬で二匹のカワウソの撮影に成功したと伝えていた。糞などのDNA検査などで、二ホンカワウソなのかユーラシアカワウソなのかが、これから明かになるという。
 なぜ、今回のコラムで、このように外来種の動物を話題にしたのかというのは、わが家栽培の無農薬・無袋栽培のぶどうのナイヤガラが、今年は三粒を残して全滅した。実の嚼み痕からすると、間違いなくハクビシンの仕業である。このブドウは亡父が17年前、新築の庭に苗木を分けてくれ、七年前から隣近所におすそ分けするほどの葡萄木に育っていた。
最初はふどうの10分の9ほど食い荒らされ、その次の朝には、しなびた3粒の実しか残さない徹底ぶりである。お見事という他の言葉見つからない!!
 一昨年は畑の農作物が鹿に食いつぶされ、農作地をネットで囲み、鹿被害から免れたか、自然環境の荒廃によって、人間の生活圏に動物が接近してきて種々のトラブルを引き起こされているが、結局は人間への自然界からのしっぺ返しを受けているのである。
 沖縄の「やんばるの森」は、世界有数の亜熱帯降雨林で照葉樹が密生し、多様で特異な生態系をもつ約4000種の固有種で絶滅危惧種の動植物の生息地である。その貴重な森が戦争のためのオスプレイのヘリバッドとして伐採され、地表は砂利道で踏み固められ、やんばるの山中が爆音に曝されている。外来種に大騒ぎするマスコミよ、未来に取り返しがつかないこの沖縄の状況には、どうして目もくれないのだろうか。やがて、その大きなツケを、未来の人たちが支払わされる日がくるであろう。

【追記】残暑お見舞いの葉書をお届けしました皆様に誠にお恥ずかしいお知らせとお詫びを申し上げす。これだけの短い文章で2カ所の誤字カ所を見落とし、その一カ所は塗りつぶしましたが、「七五五歳」表記は敢えて残しました。これほど注意力散漫になっている自分の今に、大いに恥を掻くことで、寄せてくる年波を穏やかに受け入れようと思います。
次回は白露の9月8日です。

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