初霜や夜明けの景色音も無し | かぎやで風・NPO法人クリオン虹の基金

遠い人にも身近な友にも[コラム]~~かぎやで風~~

石を踏んだ足の痛みではなく、踏まれた石の痛みに軸足を置きながら、その折々、考えたこと、言うべきことを記します。

初霜や夜明けの景色音も無し【No.297】

2017.11.22

〈小雪〉2017/11/22
  沖縄の兄から、困惑が混じった電話をもらった。
 「多田曜子反権力人権賞を知っているか?」「いや、知らない」
 「実は、今年度の授賞対象者の一人として、私が候補にあがっていると打診があった。これまで闘ってきたことは、多くの市民の中のひとりであり、私個人の力ではないので、個人が表彰されるのは、正直なところ困惑している。」
 「そのことに、市民運動を共にしてきた皆さんは、どういう意見なの?」「この時期に受賞することは、沖縄で闘っている多くの市民を励ましになるから、受けるべきだとの意見だ」
 「私も同意見だ。伊波義安の受賞は、まさに沖縄で闘っている反権力人権の代理として、快く受けるべきだ」
 インターネットのウィキペディアで「多田遥子反権力人権賞」を検索すると、「29歳で死亡した弁護士多田謡子を記念して、多田の遺産をもとに1989年に創設された。毎年、自由と人権を擁護するために活動している個人または団体に贈られる。多田が死亡した12月に、授賞式、記念講演会・交流パーティーを開催している」とあり、これまでの受賞者を検索すると、知花昌一さん、山城博治さんの名前があった。
 第29回多田謡子反権力人権受賞者は、一団体と二人の個人が対象となり、選考理由の伊波義安の項を転載すると次のようになっていた。
 「伊波義安さん (沖縄における反巨大開発、反基地闘争) 伊波義安さんは、長年高等学校で教鞭をとる一方、沖縄の環境を守る住民運動、基地撤去、平和運動に係わり続けてきました。国家権力によって人が人として生きる権利や環境を奪われた沖縄では、そこに係わらざる得ない状況がいまだに続いています。伊波さんは、沖縄アルミ誘致反対運動(1972年)、それに続く金武湾CTS建設反対運動、具志川石炭火力発電所建設反対運動、やんばるの山を守る運動、与勝海上基地建設(300万坪の埋立)反対運動など、住民とともに自然破壊に立ち向かってきました。特に、金武湾CTS反対闘争では中心的存在として活動されました。そしていま、辺野古新基地建設反対運動(2004年~)、東村高江のへりパッド反対運動(2007年~)、カデナ基地の閉鎖・撤去運動でも積極的に現場闘争を担っています。銃剣とブルドーザーで土地ょ取り上げたアメリカ軍、そして沖縄の海を、ウチナーンチュから取り上げて基地を作ろうとする日本政府に抗うため、早朝から連日辺野古ゲート前座り込みや、ジャリ運搬のダンプを採石所前で止める等、果敢に国家権力に立ち向かい、沖縄人が、心安らぐ平和な日々が訪れるまで闘い続ける伊波さんの志に、多田謡子反権力人権賞を贈ります」
 私からも、改めて”おめでとう”の言葉を贈ります。
 その知らせが届いた最中の12月19日、米海兵隊員の飲酒運転による、沖縄県民の死亡事故のニュースが飛び込んできた。またしても、との私の怒りが収まらない。
 翁長沖縄県知事は、謝罪に訪れた在沖米軍トップのローレンス・ニコルソン四軍調整官に対して「沖縄という砂上の楼閣に日米安全保障体制は乗っている。次、万が一、米軍機が住宅地に落ちようものなら、沖縄県民挙げて米軍に向かっていくことになる。それは明日かも知れない。今の状況が続けば、その時は必ず来る」と、強い抗議の言葉で警告を発した。
 この事故発生に対して在日米軍司令部は、①在沖縄米軍は基地と住居以外の出入りおよび飲酒を前面的に禁止する。②本土の米軍は基地内外での飲酒や酒類の購入を禁ずる。との措置を発表した。
 16日、ローレンス・ニコルソン四軍調整官は、米軍属女性暴行殺人事件の裁判が始まったことに関して、「事件後、飲酒運転を含め大きく減少している。私の目標は不祥事をゼロにすることだ」と、胸を張って話した3日後に、今回の飲酒死亡事故である。
 何度、綱紀粛正を約束しても、「Kill」を主目的に日々訓練されている米軍兵士に、人間性を求めること自体が無理な要求である。米軍基地が存在する限り、米軍兵・軍属による事故・事件は繰り返される。その対応策は、全くの絵空言である。
 次回は12月7日の大雪は、都合により休筆します。12月22日の冬至にお会いしましょう。

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