ものの芽に萎えし民意を問う旅路 | かぎやで風・NPO法人クリオン虹の基金

遠い人にも身近な友にも[コラム]~~かぎやで風~~

石を踏んだ足の痛みではなく、踏まれた石の痛みに軸足を置きながら、その折々、考えたこと、言うべきことを記します。

ものの芽に萎えし民意を問う旅路【No.300】

2018.03.31

〈弥生〉2018/03/31
 新年に入り、このコラムも300回を迎えることになりました。ここに至り、季節の変わり目で月二回、定期的にコラムを書き換えていましたが、追い立てられるような義務感に一呼吸おくことになりのました。月二回、定期的に書き換えるというのは、節気という義務感に追い立てられている気がして、すこし息継ぎの時を置き、が優先となり、気持ちの切り替えしてみようと、「かぎやで風」のコラムをしばらくお休みにしておりました。再会です。
 昨年からスコットランドやカタルーニャの独立問題の成り行きを、その間、大きな関心を持ちながらみつめてきました。と言うのは、わがふるさとの沖縄への度重なる仕打ちが、このまま続けられ、ある飽和点に達するようになれば、「独立」という動きが引き起こされるであろう、と予測されるからである。
 そのひとつイギリスであるが、地域別人口構成比をみると、イングランドが83.9%と圧倒的な比率となり、スコットランド8.4%、ウェールズ4.9%、北アイルランド2.9%となっている。昨年の3月、その自治体のひとつスコットランドが、イギリスからの独立を問う住民投票が行われたが、独立反対票が55.3%、賛成が44.7%となり、過熱事前報道とは違い、経済的自立課題にどう対処するのかで、その独立志向にブレーキかかかったのだろうか、独立反対派が勝利した。やはり、胃袋はアイデンティティーに勝る。しかし、その後、イギリスがEUから離脱したことによって、独立問題が再燃する可能性も孕んでいる。
 そして、スペイン東部のカタルーニャ自治政府の分離独立をめぐる決着である。
独立を問う選挙は、中央政府の阻止にもかかわらず、4割の住民が投票し、分離独立支持票が90%を占め圧倒した。中央政府はただちにカタルーニャ自治州の自治権を停止し、プッチダモン首相と政府幹部は罷免され、州議会も解散させられた。罷免されプッチダモン首相は隣国に亡命し、現在、その身柄はドイツに拘束されたままである。その後、2017年12月21日に行われた自治州議会議員選挙では、プッチダモン首相支持派議員が過半数の議席を占めている。カタルーニャ独立問題は、まだまだいろいろな紆余曲折が予想される。
 なぜ、今回のコラムで外国の独立問題を取り上げたのかというと、私は沖縄名護市長選挙の結果に大いに考えさせられたからである。 これまで沖縄のあらゆる選挙は、地方首長選挙や地方議会選挙のすべてに「国」対「沖縄」という構図の中で、県民が二分させられ争う歴史に追い込まれてきた。
 県民の民意がどのように示されようと、キーワードは日本国の安全保障にとっての「沖縄」の存在であり、この基本を揺がすような政治選択は、あらゆる手法を駆使して潰してしまう。言葉では「犠牲を強いている沖縄県民には、最大の支援を惜しまない」と、耳にタコができるぐらい聞かされてきた。
 沖縄を担当する官庁として、内閣府特命の「沖縄及び北方対策担当大臣」がおり、略称を「沖縄北方大臣」と呼ばれている。その担当職務は、沖縄に限って列記すれば、沖縄の諸問題の対処、沖縄県の振興開発、沖縄県の基盤開発、沖縄振興開発金融公庫の業務、土地境区の明確化など多岐にわたる。
 その職務の重責さに比べ、昨今の任命大臣の人物の軽さが世間の関心事となるのも珍しい。第20代島尻安伊子沖縄・北方大臣は挨拶で「歯舞色丹」の漢字を読めずに立ち往生する場面が映像で流され、第20・21代江崎哲麿大臣は、大臣就任会見で「しっかり役所の原稿を読ませていただく答弁書の朗読をするだけ」、と発言したかと思うと、国会答弁で沖縄県への振興費減額65億円を65万円と間違える始末で、とうとう入院辞任に追い込まれた。そして、第22代の福井照大臣の登板となったが、またまた「色丹」を「しゃこたん」と言いたがえてしまった。
 人の失敗や間違いを揶揄するのは、人の道に反するが、こうも立て続けに「失敗」が話題となる沖縄北方大臣が相次ぐと、その就任大臣の軽さが世間の話題となると、失ではすまされない。政府にとっては「沖縄北方大臣」の職務は、そのレベルの人物にあてがっておれば良いポストで、例え言えばその大臣椅子は、残りクジに等しいのだろう。
 そして、選挙になれば、期日前投票制度、振興費援助等のあらゆる手段を駆使して政権寄りの地方行政構築に奔走する。このことが横行するようでは、民主主義国家として後進国の列にある。

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